1 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 18:53:44.88 JD5CqFXt0 1/43




時雨「カップをこうして、あぁして……」

時雨「これで、よしっと!」


時雨「ふふん!指揮官に頼まれてた報告書なんて早々に作り終わっちゃったから」

時雨「今日は悪戯の準備がよ~く捗ったわ♪」


時雨「……それにしても指揮官遅いわねぇ」

時雨「帰って来るまで時間はありそうだし、日課にしてる日記も今のウチに……」


ガチャ……


時雨「あら、噂をすればなんとやらってヤツね!」





元スレ
【アズールレーン】時雨様のおなか、さすったり揉みしだいたりしちゃるけんね
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510912423/

2 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 18:58:17.60 JD5CqFXt0 2/43




指揮官「……戻ったぞ」

時雨「おかえり!遅かったじゃない」


時雨「さぁ指揮官……今日もさっそく、運試しの時間よ~!」

指揮官「今日は海軍省の立食会があったから……たいへん疲れている」

指揮官「そっとしておいてほしいのだが」

時雨「つれないこと言わないの!時雨様だってずっとひとりで退屈してたんだから!」




3 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 19:03:23.57 JD5CqFXt0 3/43




時雨「見なさい!ここに、ふたつのコーヒーカップがあるわ」

時雨「このうちのひとつは指揮官がだ~い好きないつものブラックコーヒー……」

時雨「そして、もう片方には角砂糖が五つも入ったミルクのないM○Xコーヒーもどきが入っているわよ!」

時雨「さぁさ、ちゃちゃっと選びなさいな♪」

指揮官「……」


指揮官「死ぬほど甘い……コーヒーに対する冒涜だ……」

時雨「ふふん♪残念でした~!」




4 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 19:13:15.09 JD5CqFXt0 4/43




――時雨は、悪戯が好きだ



指揮官「時雨、報告書は」

時雨「勿論ちゃんと作っておいたわ!PCを開いて確かめてみたら?」

指揮官「分かった」


ブリュブリュリュリュリュッ!


時雨「引っかかったわね!指揮官のデスクにブーブークッションを仕込んでおいたのよ!」

指揮官「……」

指揮官「ブーブーじゃないだろこれ……」




5 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 19:17:20.68 JD5CqFXt0 5/43




――彼女が私の秘書艦となってからというもの、こういった悪戯が毎日続いている



PC『あなたは|好きですか?』

指揮官「なんか変なポップアップが……」

時雨「ふふっ、さっさと×を押して消しちゃいなさい♪」


PC『あなたは赤|が好きですか?』


PC『ワァァァァァァァッ(大音量)』

指揮官「ウワァ」

時雨「きゃはははっ!びっくりした指揮官の顔、ホント傑作ね!」




6 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/17 19:20:32.34 JD5CqFXt0 6/43




指揮官「……」

時雨「あーお腹が痛いわ!」

時雨「ひ~!ひぃ~っ!」

時雨「時雨様が用意したトラップ、ぜ~んぶ引っかかっちゃって!プククッ!」


指揮官「時雨……そろそろ怒るぞ」

時雨「ふふん、なーに言ってんのよ!」

時雨「指揮官は、この時雨様にいたずらされるだけで幸運なのよ?」


――個々がどんなに些細な悪戯であっても、数をこなされれば誰だって腹立たしくなるものだ




7 : 以下、名... - 2017/11/17 19:21:37.36 JD5CqFXt0 7/43




――だから


時雨「ほんっとに分からず屋さんね、うふふ……」


――私は


時雨「まぁ、そういうところが……えっ?ちょっと、きゃあっ!?」




――生意気な彼女の四肢を、シーツで縛り上げることにした




……
…………
………………




148 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 02:42:28.15 kPbDw72u0 8/43




指揮官「ハァ……ハァ……」

時雨「ちょっと……これどういうことよ、バカ指揮官!」

指揮官「これでもう、暴れることはできないな」

時雨「!?」

指揮官「……フフフ」


モジモジッ


時雨「ま……待ちなさいよっ」

時雨「こ、こんなことして、ただで済むと思ってるわけ?」




149 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 02:51:59.99 kPbDw72u0 9/43




時雨「ふふ、この時雨様は上にも可愛がってもらっているのよ?」

時雨「こ、こんなことがお偉方に知れたら……」

指揮官「そんなことは、元より覚悟の上だ」

時雨「えっ……」


指揮官「よくも、楽しみにしていた仕事上がりのコーヒーブレイクを……」

指揮官「よくも、ホラー嫌いの私にあんなものを……!」

時雨「し、しきか……」


時雨(ヤバ……ちょっと、やりすぎちゃったかしら……!)




150 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:00:48.52 kPbDw72u0 10/43




時雨(ベッドに寝かされているから姿勢は辛くないけど、手足が全然動かない!)

時雨(し、指揮官はこの時雨様をどうするつも……)

時雨(……いや、決まりきったことじゃない!)

時雨(きっと、このまま……)

時雨「……」


時雨(……あれ?)




151 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:13:26.95 kPbDw72u0 11/43




時雨(こうして指揮官にいいようにされてるってのは、ちょっと不本意だけど……)

時雨(よくよく考えたら指揮官に手を出してもらうなんて、いつかは望んでいたことじゃない)

時雨(そうよ!指揮官はスッゴク奥手だから、こんなことでも起こらないと何も……)


時雨(……もしかしてこれって、ケガの功名ってやつなのかしら)

時雨(フフ……やっぱり時雨様には幸運がついているんだわ!これで指揮官との関係も一歩前進よ!)

時雨(そうと決まれば……!)




152 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:19:46.46 kPbDw72u0 12/43




時雨「……わかったわよ」

時雨「す、好きに……し、しなさいよ……っ」

時雨「そ、そのかわり!手を出したならその、セキニンはとっ……!」



カタカタカタッ

指揮官「ふむ……報告書は問題なしだな」

指揮官「どれ、次は来年度の給与令の閲覧を……」


時雨「あれ」




153 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:31:38.67 kPbDw72u0 13/43




時雨「ちょっと、何やってんのよ!」

指揮官「何って……残った仕事を片付けようと」

時雨「そ、そんなことは後回……ゴホン」


時雨「……いいこと?」

時雨「今、指揮官の目の前には手足を縛られて、身動きの取れない女の子が横たわっているの」

モジモジ

指揮官「あぁ、私がそうしたんだが」

時雨「ゴ、ゴホン!」

時雨「だ、だったら、男がこのまま何もしないわけには……いかないわよね?」

時雨「据え膳食わずば、なんとやら……だから、ね?」

指揮官「え……?」


時雨「……え?」




154 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:40:52.93 kPbDw72u0 14/43




指揮官「何をわけの分からないことを言ってるんだ」

指揮官「私はただ、今日の仕事が終わるまで……」

指揮官「時雨が悪さをしないように拘束しておいただけなのだが」

時雨「……えっ」


時雨「そ、そんな理由なの?」

指揮官「え、他に理由なんてないだろ……?」

時雨「え……えぇー……」


時雨(完全に予想外だった……まさか指揮官が、ここまで堅物だったなんて……)




155 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:45:50.36 kPbDw72u0 15/43




指揮官「小麦粉の提供が前年度と比べて……」

指揮官「やはり、ユニオンとの国交が切れた影響が……」


時雨(ほ、本当に仕事に集中しはじめたわ)

時雨(この時雨様には目もくれず、数字だらけのモニターに釘づけじゃないの)

時雨(なんでだろ、めちゃくちゃショックだわ……)


時雨(……!)

時雨(だめだめ!落ち込んでる場合なんかじゃない!)

時雨(このままじゃ、時雨様のプライドはズタズタよ!)

時雨(こうなったら……なんとしてでも)

時雨(指揮官の方から手を出させてやるんだから!)




156 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 03:58:22.95 kPbDw72u0 16/43




時雨「ねぇ、指揮官……?」

指揮官「給糧船の本数減少はまずい、前線の士気に関わる……」

時雨「ね、ねぇ」

指揮官「こればかりは、私からも意見具申しておかねば……」

時雨「ちょっと!聞いてよ!」


指揮官「なんだ」

時雨「なんだじゃないわよ!気付くの遅すぎ!」


時雨「……その、あれよ」

時雨「少し、部屋が寒かったから……その……」

モジモジ……

指揮官「あぁ、トイレか」

時雨(ぐ……もう少しデリカシーのある言い方ってものが)




157 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 04:07:59.09 kPbDw72u0 17/43




時雨「そ、そうなの……でもね」

時雨「時雨様は今、ケダモノ指揮官にこうして手足の自由を奪われているじゃない?」

時雨「だからこのままじゃ、当然……で、できないわけで」

指揮官「ふむ……」


ニヤ……

時雨「うふん、どうかしら指揮官?」

時雨「あなたの手で……その……」

時雨「“お世話”、してくださらない?」

指揮官「!」


時雨(決まったわ……!)




158 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 04:15:40.66 kPbDw72u0 18/43




指揮官「悪かったな、気が付かなくて」

時雨「……なんで拘束を解くのよ」

指揮官「こうしないと一人でできないだろう」

時雨「……」


指揮官「用を足したら、すぐ戻ってこい」

時雨「に、逃げちゃったらどうするのよ」

指揮官「別に、仕事の邪魔さえされなければ何も……」

時雨「……」


時雨「……いってくるわ」

指揮官「あぁ」




159 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 04:22:30.04 kPbDw72u0 19/43




時雨「……」 ←ちゃんと戻ってきて、再び手足を縛られた

時雨(トイレ作戦は失敗ね……しゅん)

時雨(でも、めげてる暇はないわ!次の手を打たないと……!)


時雨「あぁん、なんだか身体が……痒いわぁ」

モジモジ

時雨「はぁ……はぁ……」

時雨「そういえばまだ、お風呂に入ってなかったのよねー……」

チラッ……

指揮官「仕方ないな……」


指揮官「また解いてやるから、一人で……」

時雨「ス、ストーップ!」




160 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 04:24:47.64 kPbDw72u0 20/43




指揮官「なんだ」

時雨「こ、拘束を解かれると、その」

時雨「またギュッて縛られるたびに、手首がちょっと痛くなるから……あんまりされたくないかなーって」

指揮官「そ、そうなのか」

時雨「そうなの……だ・か・ら」

時雨「指揮官の手で、この時雨様の身体を拭きなさい!」

指揮官「な……!?」

時雨「どうしたの?それができないほど、指揮官もヘタレじゃないでしょう?」


指揮官「……と、とりあえず……湯を汲んでくる」

指揮官「他に案が思い浮かばなければ、そ、そうしてみる……」

時雨「待ってるわ、指・揮・官♪」


時雨(ふふふ、指揮官が動揺してる……かわいいわねぇ)




161 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/18 04:25:42.19 kPbDw72u0 21/43




指揮官「時雨、すまない」

時雨「ふふ……いいのよ、指揮官だけ特別なんだから!」

時雨「さ、ちゃっちゃと身体を拭き」

指揮官「いや、そうではなく……」


指揮官「給湯設備が故障したらしく、湯が沸かせない」

時雨「え」

指揮官「よって、10℃以下のキンキンに冷えた水しか使うことができないのだが……」

指揮官「さすがにこれを使うわけには……」

時雨「……そ、そうね」




327 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:07:54.47 NMr2N7nw0 22/43




時雨(この手も駄目なの!?そんな~!)

時雨(……こ、こうなったら、次は……!)


時雨「し、指揮官!」

指揮官「はぁ……今度はなんだ」

時雨「この時雨様の前で露骨な溜め息はやめなさい!」


時雨「い、今ね、小虫が服の中に入っちゃったみたいで……んっ」

モジモジ

時雨「胸のあたりが、すごくこそばゆい……の……!」

指揮官「……」

時雨(ま、これも嘘なんだけど♪)




328 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:18:44.66 NMr2N7nw0 23/43




時雨「だから、指揮官に……あんっ」

時雨「小虫をとってもらいたいのだけれど……んっ」

指揮官「虫か……」



指揮官「息を止めて、目を瞑っていろ」

時雨「えっ?」


シューッ、シューッ


時雨「きゃっ!?」

指揮官「小虫め……どこへ行った?」


シューッ、シューッ


時雨「む、虫よけスプレーじゃなくてぇ!」

時雨「て……手で取っ……けほっけほっ!」

指揮官「こら、口を閉じていろ!」


……
…………
………………




329 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:25:36.82 NMr2N7nw0 24/43




時雨「はぁ……」


時雨(あれから何度も誘惑したのに、一度も上手くいかなかったわ)

時雨(今日に限って、幸運も味方をしてくれないし……)


時雨(……やっぱり)

時雨(指揮官にとって、そんなに魅力がないのかしら……この時雨様は……)




330 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:33:57.11 NMr2N7nw0 25/43




指揮官「……ふぅ」

指揮官「よし、あと少しで全部片付く」

時雨「!」


時雨(まずい……このままじゃ)

時雨(何事も無いまま拘束を解かれちゃうわ!)


時雨「し、指揮官ッ!!」


指揮官「……」

時雨「え、えっと!」

時雨(何か考えなきゃ!何か、次の手を!)

時雨「えー……えぇと、その!」




361 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:41:53.87 NMr2N7nw0 26/43




指揮官「……いい加減にしてくれないか」

時雨「!」


指揮官「どうしていつもいつも、私の仕事の邪魔をする」

指揮官「私には、時雨にばかりかまけている暇はないんだぞ」

時雨「し、指揮官……」


指揮官「たしかに時雨にとって、私はただの“玩具”でしかないのかもしれない」

指揮官「だけど、私にとって時雨は大事な秘書……」

時雨「ち……」


時雨「違うわよッ!バカ指揮官ッ!!」

指揮官「!?」




363 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:42:55.84 NMr2N7nw0 27/43




時雨「……グスッ」

時雨「この時雨様のこと、何も分かっていないじゃない!!」

時雨「指揮官は“玩具”でしかない?勘違いも大概にしなさいよ」

時雨「フン!どうせ、バカ指揮官は今まで碌に女の子と過ごしたことがないから……」

時雨「時雨様の身体に触れるような度胸もないし、女心も何も理解できていないんだわ!」

指揮官「!?」


時雨「指揮官のヘタレ!鈍感!」

時雨「もういいわよ!一生そうして、女の子と何もしないまま過ごして――」

ガシッ

時雨「きゃっ!?」




372 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:47:40.20 NMr2N7nw0 28/43




指揮官「舐めるなよ時雨」

時雨「え、え……」


指揮官「私はこう見えても、一艦隊の指揮官を任されている男……」

指揮官「それが、部下の女一人にいつまでも下に見られているようでは……立場が務まらんのだ」

時雨「!」


ドンッ


指揮官「だから……貴様のお望み通り、身体に教え込んでやる」

指揮官「私が、男であるという証をな!」

時雨「指揮官……!」


時雨(き、来た……!)




375 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:49:07.74 NMr2N7nw0 29/43




時雨「ま、まって指揮官……!」

指揮官「……」

時雨「し、時雨様にも、心の準備ってものが……」

指揮官「……」


オロオロッ


時雨「……指揮官?」

時雨「も、もしかして……」



時雨「女の子の服の脱がし方……分からないの?」

指揮官「ッ!!」




385 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:54:17.81 NMr2N7nw0 30/43




ドキドキドキ……


指揮官「そそそそ、そんなわ↑け↓ないだろ↑」

時雨「声、ひっくり返ってるじゃない!」

指揮官「こ、これは、ただ脱がすだけでは、それは何の変哲もない行為であって、だなっ」

指揮官「その、安易な作戦立案は、愚策であって、だなぁぁぁ」

時雨「指揮官、お……落ち着いてちょうだいっ」

指揮官「えぇい、黙らんかぁぁぁぁ」


指揮官(イ、イカン……女の召し物など、どうすれば……はっ!)

指揮官(そうだ……と、とりあえず、何も身に付けていない箇所を……)




387 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:55:06.39 NMr2N7nw0 31/43




指揮官「そ↑れ↓ぇっ」


ガバッ


時雨「ひっ!お、お腹ぁ!?」



――私は、ただ無我夢中だった。

眼前の小生意気な女に馬鹿にされたくない一心だった。
時雨の言う通り……これまで女と碌に付き合うことがなかった私には、ただこうするしかなかったのだ。





389 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:55:48.92 NMr2N7nw0 32/43





薄布に包まれていない、時雨のやや長めな腹部はあまりにも綺麗であたたかく、伸びた我が五指は滑りの良い白肌を本能のままに貪った。

「な、なんでお腹……ひゃん!」

時雨の意図にない接触は、そのつど彼女の身体を小刻みに震わせた。

女は存外、腹が敏感な生き物なのだということを今しがた知った私は、驚き半分のまま時雨の肋骨間の僅か下あたりから、徐々に小さなへその上を越え、その更に下まで。
人差し指が触れるか触れないかの高度を維持し、ゆっくりと伝わせる。

「や……そこ、くすぐった……あっ……」

苦悶と困惑、更には嬌声入り混じった時雨の声に、私の中の獣が更なる疼きに咆哮する。





392 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:56:38.65 NMr2N7nw0 33/43





しなやかでありながら、程よい肉質のある腹の感触をより味わいたく、もう片方の手が時雨の無防備な脇腹を優しく掴み、揉みしだいた。

「し、しきか、そんなとこばっかじゃなくて……あっ!」

放たれる言葉とは裏腹に、時雨は自由の効かない上体と腰を交互にくゆらせ、襲い来る刺激から逃れようとしている。
そのたび軋むベッドとシーツの揺れが、私たち二人に更なる昂ぶりを。

「く、くすぐったぁ……い……~~っ!」

交互に与え続けたじれったい刺激に、時雨が全身を大きく仰け反らせた――


バサッ……


指揮官「……ん?」

時雨「はぁ……はぁ……え?」


その刹那、彼女の懐から一冊の手帳が転がり落ちた。





396 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:57:40.33 NMr2N7nw0 34/43




指揮官「なんだ、この手帳は?」

時雨「そ、それは……!」

時雨(私がいつも日記を付けている手帳!?)


時雨(や……ヤバ!)

時雨(さっき指揮官が部屋に入って来たとき、慌てて懐に入れたから……!)




399 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:58:12.78 NMr2N7nw0 35/43




時雨「まって!指揮官、お願いだからそれは見ないでぇ~!!」

指揮官「……怪しいな」


ペラッ


時雨「わ~っ!わぁ~っ!!」



指揮官「えー『10月×日、晴れ。今日は……』」

時雨(こ、声に出して読まないでよ!バカぁ!)

指揮官「『初めての秘書艦だったから、とても不安だった。でも、真面目で大人しそうな指揮官でとても安心した。』……これは、日記か?」




402 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 21:58:57.23 NMr2N7nw0 36/43




指揮官「『10月△日、晴れ』」

指揮官「『今日はどうしても好奇心を抑えきれなくて、指揮官のデスクに赤味噌入りのシュークリームを置いておいた。食べた指揮官はびっくりしていたけど、この時雨様の悪戯だと分かると笑っていた。』」

指揮官「『悪戯をすると指揮官はちゃんとひっかかってくれるし、反応もしっかり返してくれる。だから、一緒にいてて楽しい。こんなどうしようもない悪戯好きを受け入れてくれる指揮官と、もっとたくさんお話がしたい。』」



指揮官「『10月□日、時雨だけに雨 ←上手い☆(*^^)v』」

指揮官「『今日は指揮官に、時雨様の幸運を褒めてもらった。演習で最後まで残って敵艦を全滅に追い込んで、見事MVPを獲得したからだ。』」

指揮官「『本当はそこに至るまでの努力を褒めてほしかったけれど、それでも嬉しかった。照れ隠しでつい、指揮官に憎まれ口を叩いてしまう自分が実にもどかしい。』」




407 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:00:12.29 NMr2N7nw0 37/43




指揮官「『11月×日、cloudy ←敵性語なんて使ったら怒られるかしら』」

指揮官「『今日の指揮官は、終始浮かない顔だった。先日アズールレーンに某海域が奪還されたことを受けて、上からの厳しい締め付けがあったらしい。艦隊が直接関わっていないとばっちりのような案件なのに、指揮官は深刻そうに受け止めていた』」

指揮官「『指揮官は優しいけれど、仕事に対して少し真面目がすぎると思う。時雨様には、上に立つ人の責任とかそういうのはよく分からない。……そうだ、こんど指揮官の待遇が少しでも良くなるように、秘書の立場から上に取り入ってみようか。』」



指揮官「『11月△日、雨』」

指揮官「『戦局が激化するにつれ、指揮官からはなんだか余裕がなくなってきている気がする。この時雨様も、艦隊のみんなも頑張っている。だけど、今の劣勢はどうにもならない。』」

指揮官「『事態を重く見ている指揮官の目は明らかに悲痛で、この時雨様も彼とどう接して良いかが分からない。指揮官とは、ちゃんとお話をしたいのだけれど……。なんなんだろう、このむしゃくしゃする気持ちは。』」




410 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:01:13.81 NMr2N7nw0 38/43





指揮官「『11月○日、曇り』」

指揮官「『最近の指揮官は、以前にも増して元気がなくなってきている。魚雷でも食らってみてはと冗談を口ずさんではみるものの、反応はイマイチ。ただ、悪戯をしたときだけ、(文句なんだけど)比較的反応を返してくれるぐらい。』

指揮官「『仕事ばかりにお熱な指揮官を見て、やっぱり自分なんかじゃ彼の支えにはなれないのかな?最近は、そんな考えが頭をよぎるようになってきた。』」



指揮官「『だけど、この時雨様はいつまでも指揮官のそばにいていたいと思うの。それがたとえ、悪戯という形でしか接し合えなくても』」





413 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:02:16.50 NMr2N7nw0 39/43




指揮官「……」



指揮官「……おい」

時雨「……」

指揮官「なぜ、顔を背ける」

時雨「……はずかしすぎて、しにたい……」




416 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:02:43.65 NMr2N7nw0 40/43




指揮官「なぜ今まで、こういうことを直接話してくれなかったんだ?」

時雨「い、言えるわけないじゃない……バカ」


時雨「これまでさんざん、憎まれ口も叩いてきたし……」

時雨「悪戯だって、指揮官が快く思っていないことも……ほんとは、分かってたし」

時雨「こんな女が、大変な思いをしてる指揮官とまっとうにお話ししたいなんて、ちゃんちゃらおかしい話……だし」

指揮官「……はぁ~っ」




419 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:03:44.92 NMr2N7nw0 41/43




指揮官「私なんぞ所詮、女心の分からん馬鹿でしかないことが……」

指揮官「今回の一件でよく分かっただろ」

時雨「……」


スル……ッ


時雨「あ……拘束」

指揮官「ほら、こんな阿呆な遊びをしている場合じゃないぞ、時雨」

指揮官「おかげで最後の仕事が手つかずのままだ、手伝え」




422 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:04:50.60 NMr2N7nw0 42/43




指揮官「こんなどうしようもない馬鹿には、時雨の支えが必要なんだ」

時雨「!!」



時雨「……プッ、ふふっ」

時雨「はいはい……分かりました♪」




428 : ◆9l/Fpc6Qck - 2017/11/19 22:07:23.68 NMr2N7nw0 43/43




時雨「あーあ」

時雨「やっぱりうちの指揮官には、悪い事なんて最後までできっこないわね」

指揮官「悪かったな、ヘタレで」

時雨「ほんとよねぇ~」


時雨「……さて、ぱぱっと済ませてしまいましょうか!」

時雨「指揮官のお馬鹿さんのためなら時雨、な~んでもやってあげるんだから!」



――――――――fin―――――――――




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