水の四天王「祝福の聖女よ、何かありましたの?」
水の四天王(以下、水王)「ええ、落ち着きがありませんもの」
聖女「じ、実は……勇者様に、キスしちゃいました///」
水王「まあ! とうとう、一歩踏み出したんですのね!」
聖女「はいっ!///」
聖女「なので……私達、結婚しますっ!///」
水王「大きな一歩すぎやしませんこと!?」
水王「ええと……キスしただけ、ですのよね?」
聖女「えっ? ええっ?」
水王「……祝福の聖女?」
聖女「私の――祝福の聖女がキスしたんですよ?」
聖女「ええと、これはもう……結婚しか無いんですけど……」
水王「どっ、どういう事ですの!?」
水王「キスしただけで!?」
聖女「愛の女神に使える私が、あ……愛を捧げたわけですから///」
水王「女神教の戒律……ではありませんのね」
聖女「結婚しなかった場合は……えへへ!///」
聖女「全身の、毛穴という毛穴から血が吹き出ちゃいますけどね!」
水王「笑い事じゃありませんわよ!!」
水王「結婚しなければ、死んでしまうのでしょう!?」
聖女「だっ、大丈夫ですよ! 死にはしません!」
水王「けれど……無事では済みませんわよ!?」
聖女「地獄の苦しみで、精神が崩壊するらしいです!」
聖女「だから、何の問題もありませんよ!」
水王「廃人になってしまうだけでしょうに!!」
聖女「あっ、ゆ……勇者様には言わないでください!」
水王「何故!?」
聖女「だ……だって……」
聖女「重い女だ……なんて、思われたくありませんし」
聖女「だから、勇者様には内緒にしてくださいね!」
水王「知らぬ間に、命を背負わせているのに!?」
水王「……随分と、自信があるんですのね」
聖女「だ、だって……勇者様の事……好きですから///」
水王「私も……貴女程素直になれたら」
水王「――友人の結婚式はとても素敵だった」
水王「――花嫁衣装には、とても憧れる」
水王「……と、遠回しな言い方をせずに済みましたのに」
聖女「あの……かなり、直接的だと思うんですけど」
聖女「……私達がまだキスだけって、からかってます?」
水王「ふふっ! さあ、それはどうでしょうね」
聖女「もーっ!……ふふふっ!」
水王「子供が出来やすい日を狙っていたのですけれど……」
水王「恋と言うのは、中々うまくいかないものですわね」
聖女「あ、あの! 私には……は、早すぎる話題です!」
聖女「愛の無い魔法ですが……はい、知ってます……」
水王「けれど、時に奇跡が起き、子供を授かる事がある……」
聖女「そうです!! それこそ、愛の奇跡です!!」
水王「――大丈夫だから」
水王「こう言うと、殿方は勘違いしてしまうんですのよ」
水王「……魔法を使ったなどと、一言も言っていないのに」
水王「そして……奇跡が起こるのですわ」
聖女「……うぁ……ぁ、愛のなせる業ですね!!」
聖女「まだ、戻って来てないんですか?」
水王「先日貴女に諭されましたし、気長に待ちますわ」
聖女「……早く、帰って来ると良いですね」
水王「ええ……耐えきれず、零れた涙が湖にならぬ内に」
聖女「……水の四天王さん」
水王「その湖の水が溢れ、津波となって街を飲み込まぬ内に」
聖女「水の四天王さん!?」
聖女「私も、祝福の聖女として、平和のために祈ります」
水王「今頃、どこで何をしているの……!」
聖女「あ、あのー……水の四天王さん?」
水王「愛しの、地の四天王……!」
聖女「……」
聖女「えっ?」
水王「……えっ?」
聖女「いっ、今の……今のって!?」
水王「す、すみません……自分の世界に入ってしまって……」
聖女「水の四天王さんの想い人って――地の四天王だったんですか!?」
水王「……」
水王「ちっ――違いましゅわにょ!?」
水王「ちっ、違……違いましてよ!」
聖女「確かに……はー! 職場恋愛って、はいはい!」
水王「……くううっ!/// 迂闊でしたわ!///」
水王「ぜ、絶対!/// 誰にも言わないでくださいまし!///」
水王「祝福の聖女よ、お願いしますわ!///」
聖女「……」
聖女「えー?」ニマニマ
水王「そ、それは……魔王様と、他の四天王の前では、ですね……」
聖女「はいはい?」ニマニマ
水王「……バレないように、振る舞っているのです」
水王「だって……ねえ?」
水王「水と、地の四天王がだなんて……うふふっ!///」
聖女「もーっ!/// も――っ!///」
聖女「ふふっ、勿論ですよ!///」
水王「やだもう、どうして貴女まで顔を赤くしてるの///」
聖女「わかりません/// なんか、うつっちゃいました///」
水王「……あの人が、帰ってきたら」
水王「私と貴女……そして、地の四天王と光の勇者の四人で――」
聖女「っ!?」ゴクリ…
水王「精霊の湖の側にある、別荘に遊びに行きません?///」
聖女「行きます!/// ぜ~ったい行きます!///」
水王「うふふっ! 当然、貴女と勇者の部屋は一緒でしてよ!」
聖女「えっ……えー?/// ええ~っ?///」
水王「……ゴホンッ!」
水王「……祝福の聖女よ」
水王「私の想い人の事は、誰にも言わない」
水王「……誓って、頂けますか?」
聖女「……水の四天王」
聖女「私は、貴女の想い人の事は、決して口外しません」
聖女「愛の女神様と――」
聖女「――私達の、友情にかけて!!」
闇の魔王(以下、魔王)「祝福の聖女よ、今日は機嫌が良いな」
聖女「……えへへっ、わかっちゃいますか?」
魔王「ああ、余と其方の仲では無いか」
聖女「……魔王さん」
魔王「例え、人間を全て滅ぼしたとしても……」
魔王「そ……其方だけは、生かしておこう」
聖女「えっ、あの……」
聖女「はあ……あ、ありがとう……ございます……?」
聖女「いっ、いえ!」
魔王「何なりと申せ、其方は何が望みだ?」
聖女「えっ?」
魔王「其方の、今の上機嫌な様子」
魔王「それは……勇者と、誓いの口付けを交わしたから」
魔王「――だけはあるまい?」
聖女「それは……」
魔王「何?」
聖女「ええ、と……内緒の話を聞いて……」
魔王「……ふむ」
魔王「秘密の共有、か」
魔王「確かに、それは互いの絆を深めるものだ」
聖女「だから……言えないんです」
聖女「……ごめんなさい」
魔王「……」
魔王「構わん、許す」
聖女「えっ?」
魔王「どれ……余も、其方だけに秘密を明かそう」
聖女「ど、どうしてですか……?」
魔王「余が、闇の魔王だからだ」
魔王「そして、祝福の聖女……其方が――」
聖女「私が……?」
魔王「……いや、それは明かせぬ」
聖女「……」
魔王「それは――余が恋をし、愛を育んでいる者の事だ」
聖女「えっ!? それって……」
魔王「その者の名を……其方に教えよう」
魔王「どうだ? 知りたくはないか?」
聖女「それは……知りたいです!!」
聖女「だって、ずっと『内緒だ』って言ってたんですもん!!」
聖女「構いません! ええ、構いませんとも!」
魔王「ふふっ……其方は、コイバナには食いつきが良いな」
聖女「はいっ!」
聖女「だって私は――祝福の聖女ですから!」
聖女「それに……私達が、こうして話すきっかけ」
聖女「それも――恋の話でしたからね!」ニコッ!
魔王「……ならば、聞くが良い」ニコリ
魔王「余の、愛する者とは……」
聖女「とは!? わぁ~っ!/// ドキドキします!///」ニコニコ!
魔王「地の四天王だ」
おわり
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コメント一覧 (18)
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- 2018年11月15日 20:13
- えらいこっちゃ
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- 2018年11月15日 20:21
- ジャッジメントタイムが近づいてきたな
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- 2018年11月15日 20:23
- さすが闇の魔王、死の宣告が使えるとは…想い人に
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- 2018年11月15日 20:39
- おわり
の末文がかつてこんなに重たいSSがあっただろうか……
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- 2018年11月15日 20:42
- まさか続いちゃったんですね。
祝福といい、水といい、どういう関係なのだろ。
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- 2018年11月15日 20:54
- あー、これ、聖女ちゃんからぽろっと溢れるな
剣の人と火がどうなるかはわからんが、地の八つ裂きカウントダウンが始まった
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- 2018年11月15日 21:37
- 逃げ切ってるならまだしも魔王には身バレしてるしな
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- 2018年11月15日 22:00
- 恥の四天王を五等分にすればよくね?
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- 2018年11月15日 23:09
- >>8
これが今流行りの五等分の花婿ですか
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- 2018年11月15日 22:27
- いい加減過去作のリンク貼っとけよ
そもそもずっと一つのスレで続いてるものを分割してまとめるなよ
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- 2018年11月15日 22:27
- 血祭りが始まるまで秒読みだなこれ
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- 2018年11月15日 23:33
- 四人(場合によっちゃ五人)で争奪戦になるにしろ、まずは奴を〇ろう、話はそれからだってなるにしろ、魔王と四天王の内三人の全力の総攻撃が待ち構えてる訳だ。神話に出てくるような世界の終末みたいな状態になりそう。
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- 2018年11月15日 23:44
- 終わりの始まり
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- 2018年11月16日 01:02
- 終わったな(確信)
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- 2018年11月16日 01:26
- 思わず、終わったと言ってしまう程に状況が切羽詰まって来たな。
友情の板挟みに苦しんでしまうのか?
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- 2018年11月16日 01:39
- やべぇ…
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- 2018年11月16日 01:54
- これ一括にまとめてくれんかなあ
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- 2018年11月16日 06:49
- ちょっwwwこれはww