1 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:17:02 5Ld 1/13

難しいですね、こういうの。

思いついてしまったので。

元スレ
美優「言葉なんてなくたって」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1528838222/

2 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:17:25 5Ld 2/13

~大手ショッピングモール内・ベンチ~


美優「はぁ…Pさんへの誕生日プレゼント…どんなものを選べばいいのかしら…」

美優「この機会に思い切ってアピールしちゃえ、なんて言われたけれど…いくらなんでも、そこまでは…」

美優「…とは言え、いつまでも迷ってばかりじゃ…時間が過ぎていくだけだし…やっぱり、思い切って……思い……」

美優「贈り物だけでもいい……わよね…そんなガツガツしていたらみっともないだろうし……重い女だと思われたら……だけど…でも…」

3 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:17:41 5Ld 3/13



P「あれ、美優さん?」

美優「ふぇっ…?」


4 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:18:22 EaM 4/13

~フードコート~

P「何だか奇遇ですね、結構広いとこなのに偶然会っちゃうなんて」

美優「え、えぇ……そうですね……凄い…本当に、偶然……」

美優(聞かれてない……わよね……?)

P「何かお買い物ですか?」

美優「え、いえ……その、ウインドウショッピング……と言うか……」

P「あぁ、わかります。ぶらぶら見てるだけでも時間潰せちゃいますもんね」

P「けど、変装もなしにアイドルが一人で歩いていたら、何かと…目立ちませんか…?」

美優「いえ、そんな事……私、他の皆みたいなオーラとか、そういうのは…ないと思いますし…目立とうと思って、目立つ人間でもないですから」

5 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:18:49 EaM 5/13

P「そうかなあ…美優さんほどの美人、見る人が見れば一発だと思うんだけど…」

美優「び、美人なんて、そんな事…Pさんくらいですよ、そんなふうに、言ってくださるのは…」

P「うーん……」

美優「ど、どうかされましたか…?」

P「いや、美優さん、もう少し自信持ったほうがいいんじゃないかなって、ちょっと思っちゃったもので」

美優「自信……私が、ですか」

P「ええ、こう……慎ましやかなのは美徳ですけど、行き過ぎると美優さん自身がキツイんじゃないかなって」

P「ああいや…差し出口で申し訳ないですけど…何言ってんだ俺…」

美優「…ふふっ」

P「な、何かおかしかったですか?」

美優「その…自信を持てって言ってくださる人が、自信なさそうにあわあわしていたから、何だか…すみません、失礼ですよね、私ったら」

P「あはは……いや、それは……」

6 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:19:05 EaM 6/13

P「でも、そうか…自信がないのは、お互い様かもしれませんね」

美優「あの、お気を悪くさせてしまいましたよね…すみません」

P「いや、そんな事。…不思議と美優さんになら、嫌な気分とかしないって言うか…」

P「今更取り繕わなくったって、それが本心か冗談かくらいわかりますし」

美優「Pさん…」

P「あ、美優さん、この後予定とかあります?」

P「よかったら、ちょっと買い物に付き合ってほしいんだけど…いいですか?」

7 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:19:25 EaM 7/13

~夜・美優宅~


美優「あっという間に時間が過ぎて、結局自分の買い物は何もできないまま、帰って来てしまったけど……楽しかったな…」


美優「もう、日にちもそんなにないし……覚悟を決めるにも、やっぱり私なんかじゃ役者不足な気がして……」

ピピピピ

美優「あら、メール…?」


P『今日はお付き合いいただいて、ありがとうございました。おかげで楽しかったです』


美優「…………」

P『浮かない顔をされていたから、つい気になって声をかけたんですけど、良かったです。たくさん笑ってくれて、少しでも気晴らしになれたなら…』

P『でも、もし何か悩んでいることがあるのなら、話してくださいね。俺なんかで役に立てるかはわからないですけど、でも』

美優「……………あ」

P『やっぱり俺はあなたの担当プロデューサーですから』


美優「………そう……よね」

美優「Pさんは…プロデューサー、だものね…」

8 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:19:49 EaM 8/13

美優『夜分遅くすみません、メール、わざわざありがとうございます』

美優『その、悩みがあって…すっかり見透かされていたみたいですけど。贈り物、なんです』

美優『日頃お世話になっている人に、どんなものを贈ったらいいのか……どれくらい気持ちを込めていいのか、わからなくて』


P『どんな贈り物でも、気持ちがこもっていればきっと嬉しいと思いますよ。俺なら…そうだなぁ』

P『お金なんてかからなくても、手紙とか、ちょっとした言葉と一緒に、疲れてるときにそっと甘いモノでも差し出してくれたら…それだけで、嬉しいモンだと思いますし』

P『どういう相手に贈るのか、わからないので参考になるかはわからないですけど。目上の方相手だとそれなりに気も遣いますしね』


美優『その……もしPさんなら、何が欲しいですか?』

美優『私なんかのお手紙や贈り物で、喜んで貰えるんでしょうか、本当に』

P『それは嬉しいですよ』

P『美優さん、これだけは言っておきますけど…』

P『好きじゃない相手に好きとか嬉しいと言えるほど、俺は大人じゃないです』

P『自分が好きじゃない人を人に売り込めるほど、器用じゃないんです』

P『……なんて、ずるい言い方ですよね。…すみません、こんな答えで…』

P『待ってます、俺』

P『どれだけ時間がかかっても、急かしたり、嫌ったりなんてしませんから』

P『俺なんかより…もっといい人に出逢えるかもしれないし、焦って答えを出さなくても、大丈夫です』

P『あぁ……その……気付いてないですから、俺』

P『大丈夫ですよ、美優さん』


美優「………優しすぎますよ…Pさんは…」

美優「こんな……Pさん自身が辛いだけって…私……私は……」

9 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:20:11 EaM 9/13

~数時間後、P宅~

P(勘違いだったら…凄く顔合わせづらいな……あれから返事も来ないし……)

P「がっつき過ぎた…かな…はは」


P「でも…我慢ができてるようで、結果を急いでるの、見え見えだよな……俺」

P「ダメだなぁ…」


P「けど、それでも…俺は…」


ピーンポーン


P「……………まさか」


ガチャリ


美優「…………Pさん」


P「美優…さん……」

10 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:21:46 EaM 10/13



美優「すみません、その……こんな時間に……」

P「いえ、汚いとこですけど……その」

美優「………書いてきました」

P「……え」

美優「それと、これ……すみません、夜遅くで……こんなものしか、買ってこられなくて」


P(コンビニのチョコ。決して高いものじゃない……だけど、俺がいつも食べてるもの……それと)

P(その袋の中に、手紙が一枚。)



P「……読んでも」

美優「……はい」



P「……………」ペラリ




『あなたが、すきです』


11 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:22:04 EaM 11/13

P(一行だけの手紙。ワンコインで買える、どこにでもあるチョコ菓子。)


P(気付けば俺は…彼女を抱きしめていた)


美優「Pさん…」

P「俺は…単純で…頭、うまく回らなくて…」

P「もし嫌だったら……逃げてくださいよ」

美優「……嫌なわけ、ないです」


P(そう言った彼女は、自分から…)

12 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:22:23 EaM 12/13

美優(あの夜、結局、この気持ちが実る事はなかった)

美優(ずるいですよね、お互いに)

美優(けれど、気持ちを伝えずにはいられなくて、子供のように求めあって、そうして…)

美優(伝えてしまった言葉を抱きしめたまま、私は今もアイドルを続けている)


美優(隣にはいつもあの人がいて、見つめれば笑みを返してくれるけれど)


美優(もう、あの夜のように近づく日は来ないだろうな、と。何となく、理由もなく、そう感じていた)


美優(だから、よかったんです。一言で。)

美優(よかったんです、安い、誰でも、どこでも買えるようなチョコレートで。)


美優(特別なものじゃなくても、特別になれなくても。あの夜、あなたは確かに…私を見てくれていましたから)


だから…苦くて、少しだけ甘いこのぬくもりは…


お互いを傷付けることのない距離で、ただ一度だけ。




募る想い 零れ落ちてしまう前に


笑顔のまま。  最後のキスを。

13 : 名無しさ... - 2018/06/13 06:24:03 EaM 13/13

即席クオリティなので何かが足りない。
とは思いつつ夜中にあの曲を聴いたら書かずにも。などと。などと。

お目汚し、失礼をば。

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