【ガルパン】みほ「コンプレックスの檻の中で」
- 2018年03月21日 02:10
- SS、ガールズ&パンツァー
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前作:エリカ「弱くて強いあなたに」
まだ書ききってないのですが、今週中に終わらせるくらいの気持ちでスレ立てしました。
戦力に乏しい大洗女子学園を導いたその手腕と才能は、もはや「西住流」の肩書きがなくとも誰しもが認めるものだろう。
しかし他ならぬみほはまだ自分を認められずにいた。
戦車を降りた後、ベットに入るとつい口に出てしまう。
みほの姉であり黒森峰女学園の元隊長である西住まほはその世界では知らない者がいないほどの指揮官だ。
西住流の家元として常に周りの期待に応えてきた姉をみほは尊敬していた。
それだけではない、失敗して怒られても庇ってくれる姉、西住流でない戦車道を許してくれた姉、優しい姉が大好きだった。
どうして自分はできないのか、逃げてしまうのか、自分の中で越えられない存在となった姉と比べてしまうのか。
もうなんども繰り返した自己嫌悪。
それはまほ率いる黒森峰女学院を倒した後も変わることはなかった。
逸見エリカとの関係だ。
嫌われていると思って避けていたのは過去の話で、今はお互いに支え合う大事な恋人だ。
月に何度かあるデートの後、みほの部屋に来ては慰め、 慰められ、体温を分け合う。
これが唯一姉に対する劣等感を忘れる方法であった。
口癖のようになってしまった言葉を吐き出し、眠りにつく。
自分で作ったコンプレックスという名の檻の中で、エリカが傷を舐めにくる時を夢見て。
それは周りからは親友同士に見えただろう。
昔の2人では考えられないくらい近い距離で、買い物したりお茶したり、所謂普通のデートを楽しんでいた。
その後、いつものようにみほの家に行くと、エリカがいつもとは違う表情で切り出した。
みほ「え……?エリカさん……?」
みほは頭でそれを理解していたが、理解したくなかった。
いつかこのときが来るということを分かっていたが、分かりたくなかった。
混乱している内にエリカが続ける。
エリカの厳しい言葉に、みほはうつむく。
厳しい言葉が正しいだけに、みほはなにも言えなかった。
「その通りだ。」とみほは思った。
みほがエリカに抱いていた感情は、もっと暖かくてキラキラと輝いていたものであったはずだ。
決して冷たい檻の中でお互いの傷を舐め合うようなものではなかったはずだ。
エリカは檻から出るべく、みほの手を引いて出口に向かって進んでいるのだ。
それを分かっていながら、それでもみほは立ち止まる。
エリカ「大丈夫、私がついているわ。」
エリカに優しく抱きしめられたみほはそれでも消えない不安感に怯えていた。
出合った仲間に、姉に認められ、自分の戦車道を見つけてもなお消えない劣等感。
自分にとって特別な存在であるはずの仲間でも断ち切れない感情を、本当に忘れることができるのか。
エリカが前に進んだとき、自分は横にいることができるのだろうか。
みほの心は恐怖に支配されていた。
エリカ「みほ……。」
みほが出した結論は逃げることだった。
エリカからも逃げ出そうと、必死で笑顔を作る。
しかしエリカはそれを許さない。
みほ「逃げるなんて……そんな……。」
エリカ「あんた前に言ったわよね?『同じ』だって、『気持ちがわかる』って!だったら私があんたのことわからないわけないでしょ!」
みほ「だって!怖いよ……。私はエリカさんみたいに強くない。向き合うことなんてできない!」
みほは涙を流して訴えかける。
今まで誰にも話したことのない心の内、それをエリカにぶつけるように声を上げる。
みほ「だったら!だったら……なんで私と一緒にいてくれないの?エリカさんとなら私……。」
エリカ「みほ、目を覚ましなさい。そんなの自分たちを苦しめるだけよ。今ならまだ間に合う。」
みほ「来ないで!」
抱きしめようとしたエリカをみほは突き飛ばして拒絶する。
しかしエリカは諦めない。
エリカは何度も何度もみほに近づいていく。
以前自分がされたように、みほに力を与えるために抱きしめようとする。
その度にみほに拒絶され、ベッドにぶつかり、机にぶつかり、ついには怪我をしてしまうが、それでも諦めない。
泣き崩れたみほを今度こそ抱きしめる。
みほはまだ逃れようと身を捩るがエリカがそれを許さない。
エリカ「離さないわ。私はあなたと一緒にいたい。だから離さない。」
エリカ「みほ、あなたのことはわかってるわ。あなたが自分を認められないのもわかるし、向き合うのが怖いのもわかってる。」
みほ「じゃあなんで!」
泣き叫ぶみほにエリカは優しい笑顔を見せる。
ハッキリとした、自信に溢れた口調でエリカが言うと、みほは諦めたように力なく言葉を返す。
みほ「……そんな、勝手すぎるよ。」
みほ「エリカさん……。」
エリカ「離さないわ。あなたが自分と向き合えるまで、ずっとずっとそばにいる。」
みほ「じゃあその後は?」
エリカ「言わないと分からないの?」
エリカはみほを押し倒し、キスをする。
エリカ「なら分からせてあげる。」
みほ「さっきのエリカさん、ボコみたいでカッコよかったなぁ。」
エリカ「はぁ?あの熊みたいってどういうこと?」
ボコとはみほが好きな熊のキャラクターだ。
いつも喧嘩を売っては返り討ちになり、ボロボロになりながらまた喧嘩を売る。なにがしたいのかよくわからない存在だ。
エリカはボコの良さがまったくわからないので少し強い口調になる。
それをまったく意に介さず、みほは答える。
エリカ「やったのはあんただけどね。」
みほ「ご、ごめんなさい。」
コントみたいなやりとりに、エリカは笑う。
みほはなぜエリカが笑ったのかはわからなかったが、つられて笑顔になる。
みほ「うん、自分でもびっくり。私、あんな風に怒鳴ったの初めてかも。」
実際みほが声を上げるのは戦車道で指示を出すときくらいだろう。
みほの記憶では少なくとも小学生のころまで遡らなければならないほどの大声だった。
みほ「エリカさん!」
エリカ「冗談よ。……機嫌、治った?」
みほ「うん、大きな声を出したからかな、なんかすっきりした。」
エリカの冗談に怒ったようなみほだったが、その顔は先ほどの泣き顔まで嘘だったかのように晴れやかだった。
だからエリカはここで切り出す。
みほ「……正直ね、まだ自信がないんだ。」
みほは真っ直ぐにエリカを見つめ、ゆっくりと、言葉を捜しながら話す。
いつものエリカならばイライラして叱り飛ばすところだろうが、今日はじっと、みほを信じて答えを待つ。
みほ「 でもね、 …… いくら考えてもエリカさんと一緒にいたいってことだけは変わらなかった。」
エリカ「みほ!愛してる!愛してるから!」
みほ「うん!私もエリカさんのこと、愛してる!」
それが檻の中ではないということだけが、ただいつもと違っていた。
思ったより後日談っぽくならなかったですね。。。
まぁ前回はエリカの弱いところを書いて、今回はみほの弱いところを書いたってことで前編後編ぽくはなったのかな?
エリみほのいいところは2人の精神的な弱さだったり、自己肯定感の少なさだったりするところだと思うので、
それを表現しようとしたら結構重い話になってしまいました。
まぁ好きなんですがね。嫉妬に狂ったエリカとか罪悪感から言われるがままになるみほとか興奮します。
あと、夜の話ももっと細かく書きたかったんですが、全年齢版のほうにスレ立てしてしまったのでしょうがないですね。
多分みほが謝罪しながら怪我したところにキスしてうんたらかんたらとかになってたと思います。
ということで今回も見ていただいてありがとうございました。
次回はバカでエ口い話を書こうと思っています。
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コメント一覧 (6)
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- 2018年03月21日 02:41
- みほエリ謝罪ックス書くんだよあくしろよ
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- 2018年03月21日 05:57
- ふじきりお同人誌
西住みほが重圧と姉への劣等感で精神が苛まれ、最後は崩壊する。ちなみにこの作品だと、それを分かっていながら、角谷杏が無理矢理、西住みほに『戦車』の指揮をさせ、彼女の精神崩壊の『主犯』となる。しかし、その角谷杏『も』映画『アマデウス』のサリエリ然り、罪悪感に耐えられなくなるが、精神崩壊寸前に、西住みほが角谷杏を赦し、角谷杏と学校は救われる。現在、河嶋桃が進学をかけて『冬の大会』に臨んでおり、精神崩壊しているが西住みほはまだ健在で適切に指導している。ただ、対戦相手の隊長『マリー』が重圧とストレスで精神崩壊寸前に追い込まれている。この作品だと『マリー』『も』マジノの隊長同様、ストレスからくる『胃痛』に悩まされている。
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- 2018年03月21日 06:09
- 西住みほ
純粋な『現場の戦車部隊の指揮官』としての『才能』なら『姉』を上回っている。保有する戦車の質・量を考えたら、西住みほ・ミカ・安斎千代美、この3人の『現場の指揮官としての才能』は桁違いである。ただ、西住みほの場合、才能はともかく『性格』が明らかに向いていない。そう考えると、母親が彼女を『戦車道がない』『大洗女子』に転校させたのは適切な処置である。おそらく、あの姉妹だと姉の『まほ』は『母親似』妹の『みほ』は『父親似』なのだろう。そうなると俗に言われる『女の子は父親似だと幸福になる。』を地で行くから、姉の『まほ』の方が『母親似』で大変な事になる。
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- 2018年03月21日 09:14
- 布袋寅泰とバンド組む話じゃないのか
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- 2018年03月21日 10:34
- 西住まほ
保有する戦車の質・量で勝利しているだけで、同じ戦車を同じ台数で勝負したら、姉の西住まほ、最弱ではないのか? 一例、74式戦車を10両又は20両ずつ渡して勝負したら、意外に『知波単』が最強のような気がする。
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- 2018年05月07日 18:11
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「自己肯定感の少なさ」
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激しく同意。